【オジンから見たダイビング(9) - 最近面白かった本】2012/08/26 21:32

 最近でも読んでいる本は海外ミステリーであるが、相変わらずひでり続きで、未だに「ミレニアム」がひら置きのど真ん中。「ミレニアム3」の2009年7月の発刊から既に3年が経過している。確かに最高に面白かったので納得は出来るが、いかに新しいものが出版されていないかということだろう。最近、ひら置きにある本は、昔のベストセラーの再販本が多い。女流作家の本も相変わらず多いが、ほとんど読まないので目には入らない。

 そんな中で、早川書房のポケット・ミステリー(通称ポケミス)が元気だ。若い頃ハードボイルドが全盛時には良く読んだが、しばらく遠ざかっていた。早川書房の戦略が変ったのかどうかは解らないが、昨年後半あたりから新しいタイプの本がポケミスで出版されており、面白い本が幾つかある。最高に面白かった本を紹介したい。ポケミスは文庫本より縦長でスーツのポケットには少々厳しいかも知れないが、大きな本屋(単行本側)で手にとって見ることをお勧めする。特に、リヴァイアサン・シリーズは中の挿絵を眺めてみて欲しい。

 

1.     特捜部Qシリーズ - ユッシ・エーズラ・オールソン(デンマークの作家)

 組織の指示やルールを軽視するベテラン刑事が革新的な部隊である特捜部Qのリーダーとして任命される。とは言っても、部下はシリアからの移民の助手一人、地下室の倉庫まがいの部屋という扱いで体のいい厄介払いである。特捜部Qは戦略的な未解決事件の専門部隊という謳い文句で政府からの特別予算で設立されたものであるが、大半の予算はちゃっかり他の主力部隊に廻されている。そんな中で、やる気があまりない主人公が積極的でなかなかやり手のシリア人の助手に促されて未解決の難問事件を解決していくストーリーで2人のキャラクター設定も面白いし、事件そのものの背景や解決していく過程も読み応えがある。2作目からは更に前の部隊で煙たがられていた女性の助手が加わり、変人3人が文句を言いながらも難問に取り組むことになる。未解決事件を取り扱うことから、当時の担当署や担当者からの情報提供が必要だが、彼らの捜査方法を掘り返すことになり、非協力的な対応で彼らとのいがみ合いも多くなる。1作目の「檻の中の女」は自殺と片付けられていた女性議員失踪事件の解決、2作目の「キジ殺し」は既に犯人が自首して収監されている20年前の殺人事件の真犯人を逮捕、3作目の「Pからのメッセージ」はスコットランドに漂着したガラス瓶に入っていたメモから連続誘拐事件を解決というものでデンマークの時代的、地理的背景にも触れられて非常に興味深い。4作目もデンマークでは既に発刊されており、日本での発刊が楽しみである。

2.     リヴァイアサン - スコット・ウェスターフェルド(アメリカの作家によるSF)

 こちらはSFであるが、読みながら次の展開のワクワク感を感じたのは実に久し振りである。最近SFはあまり読んでいなかったが、本の帯にあった「新☆ハヤカワSFシリーズ創刊」に引かれて手にとって中をみたら、何枚もの挿絵入りだった。

昔々に挿絵入りの少年冒険本をワクワクしながら読んでいたことを思い出し、即購入。1914年夏の第一次世界大戦前夜を想定した仮想歴史小説である。オーストリア=ハンガリー帝国の大公がサラエボで暗殺され、世界大戦に入ろうかというところからストーリーが始まるが、連合国側のイギリスではDNA操作の技術が高く、色々な動物をDNA操作で戦力として活用している、片やドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国側はロボット技術が発展し、各所で戦闘ウォーカーが利用されている。その中で活躍する2人の主人公のキャラクター設定が非常に楽しい。1人は暗殺された大公の息子である公子。ハプスブル家の継承権を有するが、現在のオーストリア=ハンガリー帝国の現政権から狙われることを恐れ、親衛隊の部下と戦闘ウォーカーでスイスに逃れようとしている。もう1人はスコットランドの女の子であるが、空での活躍を夢見て、男装して英国海軍の航空隊の士官候補生のテストを受け、もって生まれた身軽さで合格し、リヴァイアサン(戦闘飛行船)の一員として活躍する。この2人に加えて色々とくちょうのある人物がからんでストーリーが展開していくが、SFなる所以であるDNA操作で色々な動物が活躍する。先ず戦闘飛行船であるリヴァイアサンはクジラである。自分の発するガスを貯め込み空を飛び、繊毛活動で前に進む。人の声を録音できるトカゲが伝令役になる、こうもりが大量の釘を生成し、落下させて武器とする等々、何が出てくるか、これも楽しみである。ストーリーは2人が世界大戦を止めようと活躍するもので、現在3部作の2部まで発刊され、12月に最終版の発刊予定である。最終版では日本へも飛行するようであるが、どのようなストーリーになるのか想像もつき難い。実に待ち遠しい。

 

 9月始めにインドネシアのデラワン・サンガラキのクルーズ・ボートに乗船する。どんな本を持参するかこれから選択する。




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