【その他雑感(21)-最近考えたこと(5):外出自粛解除後もほぼ自粛している中で 】2020/07/16 13:42

 <<新型コロナの感染者数に対する報道は正しいか??>>

 このところの東京中心の新型コロナ感染者の状況に緊迫した報道がされているが、感染者数のみに焦点が当たっており、本質の指摘がされていないのではと強く感ずる。

A:現状の確認

 最近の傾向を週次(日次はあまり意味がないので)確認すると次のようになる。

(-)

6/1-6/7

6/8-6/14

6/15-6/21

6/22-6/28

6/29-7/5

7/6-7/12

 

4/1-4/30

5/1-5/31

PCR検査数

10,130

11,573

11,588

12,575

15,263

15,519

 

8.960

25,412

PCR感染者数

147

161

239

331

651

1,162

 

3.750

960

陽性率

1.5%

1.4%

2.1%

2.6%

4.2%

7.5%

 

41.9%

3.8%

(出典:新型コロナウイルス国内感染の状況-東洋経済オンラインより加工)

この表をどのように理解すべきか? 確かに、6月に入って感染者は増加傾向にあり、陽性率も上昇している。だから2次感染の恐れがある、対策を検討すべきではないかと大騒ぎになっている。この理解は正しいのだろうか? 先ず、この結果はそれぞれの期間のPCR検査の範囲に基づいたものであることを確認すべきである。表の右の4月、5月の状況を確認する。4月は感染者が増大し、医療崩壊の恐れがあるため、徹底して重症の可能性の高い人に焦点を充ててPCR検査を実施していた。保健所で要請者から徹底して聞き取りを行い、陽性の可能性の高い人に絞って検査を実施していた。その判断が適切あったことから、高い陽性率を維持することが出来ていた。5月は、聞き取りの基準を拡大し、かかりつけ医師からの提言も加味してPCR検査の幅を拡大してPCR検査を実施し、入院が必要な感染者を低く保つことが出来た。6月からは、PCRセンターや医療機関でのPCR検査も加えて検査能力を倍増して実施してきたが、7月から感染者も増加している。6月後半からいわゆる夜の街等に焦点があたり、PCR検査の範囲を新宿区等に振り向けることで、陽性率も増加傾向になっている。全国レベルでも下図のように感染者の増加とPCR検査人数の増加は強い関連があると思われる。要は、感染者が増加したのではなく、検査体制の拡充に伴い無症状感染者を含めた真の感染者をより多く確認できるようになったとも解釈できる。無症状感染者を含めた真の感染者が増加しているのか、減少しているのか明確ではない。検査体制の拡充でより多くの感染者を確認できるようになったとも解釈できる。

  

都知事も7/15に警戒レベルを最高位に引き上げて対応策やPCR検査を10,000件に拡大すると宣言した。仮に陽性率5%を維持して、陽性者500人/日を確認できたとすると上述の1.1~2.3万人を確認するために22~46日掛かることになる。今後は、これまでの検査体制の拡充だけではなく、新規の対応策に変革すべきであり、具体策について考えてみた。

 

B:今後のあるべき新型コロナ対応策 <無症状感染者の確認を焦点とする>

これまでは、無症状感染者を戦略的に確認することは実施されていない。が、5月で重症感染者、軽症感染者の多くは確認されて病院等で隔離されており、6月以降の多くの新型コロナ感染者は無症状感染者から感染したと考えるべきである。無症状感染者は4日程度で症状が出るかあるいは回復してしまうと言われている。現在では、無症状感染者も感染能力があると確認されており、4日間+症状が出てPCR検査を受けるまでの日数(数日)の間は、自由に行動することになり、知らない間に密な状況下で他人に感染させている可能性がある。夜の街、ライブハウス、カラオバー、観劇シアター等々での感染者発生は大半が無症状感染者を介しての感染であると考えられる。

では、どのようにして無症状感染者を確認するのか? 日本の無症状感染者はどの程度の人数なのか?

先日発表された新型コロナ新分科会の対応では、感染者を有症状感染者、分野を特定した無症状感染者、不特定無症状感染者の3グループに分けて対策を検討するとしている。残念ながら、TVや新聞の報道ではこの発表に対する反応は極めて低い。日本がこれから実施すべきことは上記3グループの対応策の検討になるべきである。

 先ず、日本での無症状感染者はどの程度なのか? 国として推測・予想する必要がある。先週西村大臣が、日本全国で実施している全てのPCR検査、抗体検査、抗原検査の情報提供を依頼した(遅いけど)。これらのデータを統計的に分析すれば、大まかな推定値を策定できるのではと思う。例えば、6月初旬に実施した幾つかの抗体検査から、東京都とソフトバンクでの結果から考えてみる。東京都では無作為の1971人を対象にして2人(0.1%)の抗体陽性、ソフトバンクでは系列社員38,216人を対象にして86人(0.23%)の抗体陽性となっている。抗体陽性とは、かつて新型コロナに感染・回復して抗体を保有していることを意味する。要は、ほとんどの人が無症状感染で、いつのまにか回復して抗体を保有したことになる。東京の人口1100万人に当てはめると1.1~2.3万人になる。現在でも同程度の無症状感染者がいると考えると大幅にPCR検査の能力を上げ、より多くの感染者を確認する必要がある。無症状感染者がいつのまにか回復していると、無症状中に接触し感染した人は経路不明となる。特に、20~50代の働き盛りの活動範囲は広く、影響力は大きくなる。如何にして無症状感染者を回復前に確認するかが重要になる。

現在のPCR検査能力は増強されているが、あくまでも対象者は症状を意識した人であり、無症状者は対象になることは少ない。分科会の定義した3グループの内、有症状感染者はこれまで通りとして、不特定無症状感染者を対象にすることは困難なので、如何に分野を特定した無症状感染者を確認するかが重要になる。

例えば、企業単位で全社員対象のPCR検査・抗原検査(抗体検査ではなく)の実施、新宿区が推進したような地域毎の特定分野の住民、人の集まるイベント(スポーツ、劇場、各種遊興施設)での簡易PCR検査・抗原検査、航空機・長距離鉄道・船舶等での実施等々、出来ることから実施し、対象者を正規のPCR検査に繋げる仕組みを構築することが必要になる。各種の簡易PCR検査や抗原検査を選別・認定し、より拡充した正規のPCR検査体制と連携させた仕組みの構築が望まれる。

 

C:我々が実施すべきこと

1: 11人が無症状感染者かも知れないと意識して行動する。要は、これまでと同様に、3蜜を避け、マスクの着用、抗ウィルス消毒を徹底する。必要なPCR検査・抗原検査を受ける。

2: 感染者の増加問題をあおる報道は冷静に見る。感染者数の増減は、その時の検査対象がどうであったかに依存するものであり、必ずしも傾向値ではないと理解する。

3: 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を正しく理解して、積極的に活用する。COCOAは、現在そばに感染者がいるかどうかを知るアプリではなく、確認された無症状感染者との接触が過去にあったかどうかを知るためのツールと考えるべきである。無症状感染者がPCR検査で陽性になり、COCOAに登録すると、記録されていた過去14日以内の活動から誰と接触していたかを分析できる。無症状感染者がいつどこで感染したかは、本人も含めて、極めて解りにくい。COCOAを通して過去の活動から他の感染者と何処で接触したかを分析し、感染経路を見つけられる可能性がある。また、感染者の無症状時期の接触実績からPCR検査受診の案内を対象者に連絡することも可能になる。但し、感染者がPCR検査後にCOCOAをインストールしても遅いことになる。感染者になる以前にCOCOAをインストールすべきである。

4: 全くのワイルド・アイデア: 4日間の全国民活動停止

無症状感染者が4日程度で有症状になるか回復するとすれば、国民全員が4日間活動自粛をし、PCR検査場、病院・軽症者用施設および限定した移動手段のみ活動し、自宅で出来る作業は継続する。理論的には、4日後には、全ての感染者を特定し、無症状感染者も一旦クリーンに出来るのでは?? 費用的にも安いかも知れない。 日本では無理かな??

 

TV報道を見ていても、医療関係の有識者がPCR検査を増やすべきと発言してもほぼ無視して感染者数増加への対応策のみを議論しているように思える。議論されているような対策の徹底も重要であるが、積極的に無症状感染者を確認する仕組みも非常に重要であり、検査体制を拡充してより多くの感染者を確認すべきだと切り替えて欲しい。

 




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