その他(2) 東日本大地震について思うこと (4) - 原発問題の政府の対応について2011/04/05 17:14

 原発問題が日に日に深刻になっていく中で、つくづく日本の政府・省庁は官民一体や省庁を超えたプロジェクト体制の構築が極めて下手と思わざるを得ない。むしろその気が全く無いのではと思う。

 現在日本での最優先課題は原発問題の解決、避難者および被災者の早急な日常生活への復旧およびこの2つに関連する情報の速やかな国内外への公開であり、それぞれ国レベルでの緊急プロジェクト・チームの編成とリーダーシップが不可欠のはずである。プロジェクト・リーダーには、副大臣レベルの最適な人材が担当し、プロジェクト管理に、政府や省庁の責任者が配置し、その体制を明確に公表するべきである。ところが種々報道を見ている限りチームがあるようには思えないし、リーダーシップも全く見えてこない。一見情報公開は枝野長官に一元化されているように思えるが、プロジェクト・チームの組織的編成は見えない。

 原発問題について考えてみると、原子力安全・保安協会も政府関係者も「~を東電に指示した。」と当たり前のように発言している(追記:最新報道では、首相直轄の原子力安全委員会と経産省の原子力安全・保安協会を統合し、規制機能を果たす案が検討されているとのこと。規制機能が上述の発言するのであれば妥当だ)。責任問題は問題解決の見通しが立ってから考えれば良いことであり、現在の緊急事態は国レベルで解決しなければならず、国のレベルで必要・充分なプロジェクト体制が構築されなければならないはずである。1企業である東電が解決策の検討・実行の責任を持つべきではない。現在500人前後の技術要員が作業に当たっていると報道されているが、日本国としてベスト・チームなのか? 東電の技術者以外に最適な人材は海外も含めればもっと召集可能なはずである。プロジェクト・リーダーは緊急予算を持ち,有料でも最適なスペシャリストを招集すべきである。当初線量計が300台しかない問題が生じたが、日本全体なら充分な量はあるはずであり、緊急での調達なら1日で必要量が集められるはずである。要は作業の全体管理を放棄し、東電に任せっきりであったことを暴露している。同様に技術要員の劣悪な作業環境が報道されていたが、プロジェクト・リーダーが先ず実行しなければならないことは、チーム編成と同時に作業環境の整備、必要な機具等の調達および作業計画の作成、実行管理・調整、プロジェクト要員の健康管理等である。劣悪な作業環境として報道されていた、食事の提供や休息等の支援もいくら放射線濃度の問題はあっても、優先度を配慮すればプロジェクト・リーダーの責任で早々に解決できるはずである。原発問題は長期化の見通しが高いので直ぐにでも国を挙げてのプロジェクト・チームを編成すべきである。

 原発の責任問題に関しては、現在の報道ぶりからすると東京電力の責任という風潮になっているが、福島第一、第二の原発構築計画の段階で、国の安全基準に基づいて計画され、承認されて建築されたはずである(追記:最新報道では、第一原発は安全基準策定以前に稼動していた。最新の安全基準を満たす検討が行われていたようだが、津波への完全な対策が必要と認識しながら未完であったようだ)。今回の大災害はこれらの基準を大幅に超えた可能性が高い。今後徹底した原因解析が行われる中で、東電が承認された安全基準の対応で不備があったものは当然東電の責任であり、想定を超えた大地震、大津波等に起因した原因であれば、国と東電および公平な第三者機関(例えばIAEA)で検討・判断すべきものと思う。いずれにしても、今回の問題の徹底した原因解明を実施し、日本国および関係各国での安全基準に反映させることが最重要のはずである。

まだまだ、解決の見通しが立たず、作業を実施している技術要員の肉体的、精神的疲労は大変なもののはずである。彼らが全精力を解決作業に投入出来る環境を国レベルで早急に作る必要がある。報道関係も徹底してプロジェクト体制の構築を強く働きかけることを望みたい。




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